2008年11月08日

日本史の誕生―千三百年前の外圧が日本を作った 岡田 英弘3

 

  本物の世界史を書こうとする歴史家が取るべき立場は、あらゆる目前の利害や理想や感情を排除して、論理だけをとことんつきつめて史料を解釈し、総合する という立場である。

 

歴史をこうした立場から書けば、その歴史は、歴史家の個人的な意見を超えて、誰にでも受け入れられる可能性を持った「真実」になり得る のである。日本の歴史は、そうあるべきものである。

 

 なお本書では、英語のKorea に対応する地域を、「朝鮮」でも「朝鮮半島」でもなく、「韓半島」と呼ぶことに統一した。

「朝鮮」は、もともと大同江・漢江の渓谷の住民であった種族の名 称で、前一九五年、亡命中国人が平壌に立てた王国の国号にもなった。

 
世界史の誕生

新書777円

前一○八年に前漢の武帝が朝鮮王国を滅ぼして、その地に楽浪郡などの四郡を置いてから 後、この「朝鮮」人は中国人に同化して消滅した。

 

馬韓・辰韓・弁辰の三韓の時代にも、高句麗・百済・新羅の三国時代にも、新羅王国の統一時代にも、高麗王 朝の時代にも、この半島を「三韓」と呼んだことはあったが、「朝鮮」と呼んだことはなかった。

 

それが復活したのは、中国の明の太祖洪武帝が一三九三年、高 麗王朝に取って代わって王位についた李成桂のために、新しい国号として「朝鮮」を選定してからである。

 

そ うした歴史的な事情があるので、「朝鮮」や「朝鮮 半島」という名前を、十四世紀末よりも古い時代に適用するのは、時代錯誤である。といって、「韓国」や「大韓」では、「大韓民国」という二十世紀の特定の 共和国の略称なので、歴史的名称としてはますます時代錯誤の感が強くなる。

 

しかし「韓」ならば、一世紀にはすでに中国の記録に現れる種族名であり、しかも 後に半島を統一する新羅は「韓」の一つの辰韓の直系なので、その統一した範囲を「韓半島」と呼んでも無理が少ない。これが「韓半島」を採用した理由であ る。

 


現代中国と日本


 本書では、漢字にはなるべく振り仮名をほどこして、読みやすさをはかった。その際、漢字音は、音訳の原音が推定できるものは除き、原則として現代仮名遣 いで音読した。

 

ただし『日本書紀』や『万葉集』などの日本古典に由来する漢字の地名・人名には、日本読みの古典仮名遣いを採用した。「難波」を、「なに わ」でも「なんば」でもなく、「なには」としたようなものである。

 

これは史料の成立当時の読み方になるべく近づけるという趣旨である。


 本書『日本誕生』に収録した各篇は、それぞれ違う時期に違う刊行物に載せたものに基づいているが、その内容には、今回の収録に当たって徹底的に改訂の手 を入れて、著者の最新の見解を表現することに努めた。

 

本書の刊行の実現と、編集の実務、及び改訂すべき点の指摘は、弓立社の宮下和夫社長の熱意にすべてを 負うものである。ここに記して深甚なる謝意を表する。

 

 

 目次
 序章 日本の歴史をどう見るか
 第一部 倭国は中国世界の一部だった
  第一章 邪馬台国は中国の一部だった
  第二章 邪馬台国の位置
  第三章 親魏倭王・卑弥呼と西域
  第四章 倭人とシルクロード
  第五章 日本建国前のアジア情勢
  第六章 中国側から見た遣唐使
  第七章 「魏志倭人伝」の世界
 第二部 日本は外圧のもとに成立した
  第八章 日本誕生
  第九章 神託が作った「大和朝廷」
  第十章 新しい神話―騎馬民族説
  第十一章 日本人は単一民族か
  第十二章 日本語は人造語だ
  第十三章 歴史の見方について
 文庫版あとがき

 
日本史の誕生

 文庫840 円

 

  岡田宮脇研究室

 http://www10.ocn.ne.jp/~okamiya/

 




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